vol.1 位置につけ
私たち家族は、とある田舎町の住宅地に住んでいる。
30代後半のバツイチ夫・春山シュウ、初婚の私・ナオ、今年うまれたばかりの息子・カズ、2歳半の愛犬・テツ。
そしてときどき加わる小学6年生の息子・レン。
レンはシュウの前妻との子で、ここから車で1時間ほどのところに母親の春山ユキと暮らしている。月2回の週末に、父親との面会というかたちで我が家へやってくるのだ。
レンについての面接交渉、いわゆる面会は、協議離婚のときの取り決めで当初月1回だったが、私たちが結婚してレンの引き取りを現実的に考えはじめた頃から月2回に増やした。これは私とレンの仲をもっと親しくするためで、シュウの離婚調停のときからお世話になっている弁護士のアドバイスだ。
我が家に来る予定のない週末は、レンは母方の実家にあずけられている。
ユキは福祉関係の仕事をしていて、週末はいつもシフトが入っていてレンの面倒をみられないからだそうだ。もう高学年なのだから一人で留守番くらいできるよと言っても、ユキは聞き入れず実家へ連れていってしまうという。
いつだったか、レンは自宅でユキと男が写った写真を見つけてしまった。その日付は自分が実家にあずけられていたときのものだった。(さっさと再婚すりゃいいのに。byレン)
レンはユキのことを『あの人』と呼んでいる。お父さんにしかられるときは理由がわかるけど、あの人に怒られるのはなんだかよくわからないという。
さて、先の弁護士さんの手によって、レンの親権についての調停にむけての準備は着々とすすめられている。手続きがすみ次第、ユキにも裁判所から連絡がいくだろう。そのとき彼女がどう出るか、じつに頭の痛いところである。
たとえば我が家の住所がわかれば必ず来るだろうし、レンがうちに来ているときにわざわざ来て、近所中に響きわたる叫び声で「レンを返して〜!」とわめき散らすくらいはやりかねない。
もしかしたら警察くらい連れて来るかも(過去に呼んだことアリ)。
多彩な可能性を秘めた人なのだ。( -_-) フッ
シュウも弁護士さんもそれがよくわかっているから、この調停をやるかどうか私たちは何度も話し合ってきた。たとえ月2回でも確実に面会できていて、とりあえず落ち着いたペースを保っているのにあえてそれを乱すことになる。
最悪の場合、レンとはしばらく会えないかもしれない。裁判所で闘うことは非常にストレスがかかるし、期間も半年はかかる。さらに心理戦ではユキのほうがあきらかにシュウよりもタフだ。経産婦、強し。
(離婚のときシュウは胃をヤラれているw)
しかし、これから思春期を迎えるレンの今後を考えると、やはりこういう行ったり来たりの状態はよくない。そんなこんなで、私たちは彼女から親権を奪取すべく争う決心を固めたのだ。
そして何より、お父さんのところに来たいというのが、もうずっと前からのレンの希望だったから。
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